こんにちは、日本で一番”敷居の低い”アートマガジン、アートの小道です。
ストリートアートの世界で、「バンクシー」という名前は一度は耳にしたことがあるでしょう。
しかし「名前は聞いたことあるけど、何がすごいのかはよく知らないアートの人」と思っている方も少なくないはず。
ニュースやSNSで見かけるけど、顔も経歴も謎。
なのにどこかに絵を描いただけで世界中で騒がれる。
なぜそこまで注目されているのか、ちょっと気になりませんか?
今回は、「バンクシーって一体何者?」「なんでそんなに話題なの?」という疑問を、アート初心者にもわかりやすく、やさしく深掘りしていきます。
バンクシーとは?

バンクシーの正体はみんな分からない
バンクシーは、正体がわかっていない謎のストリートアーティストです。
名前も顔も非公開で、世界中どこに現れるかもわかりません。
それなのに、彼の描く絵が街に突如現れるたびに、大きな話題になります。
活動を始めたのは1990年代、イギリスにあるブリストルという街。
最初はグラフィティ(落書き)アートの一環として壁に絵を描いていましたが、次第にステンシル(型紙)を使ったアートが定番として知られるようになりました。
バンクシーの作品の見どころ
彼の作品はただの「カッコいい絵」ではありません。
戦争、貧困、監視社会、環境問題など、現代社会への鋭い批判や風刺が込められていて、「これって何を伝えようとしてるんだろう?」と考えさせられます。
さらに、彼は映画監督としても活動していて、2010年には『イグジット・スルー・ザ・ギフトショップ』という映画を発表。
アカデミー賞にもノミネートされました。
芸術家という枠を超えて、社会問題にアートで切り込む活動家(アクティビスト)としても知られています。
何よりもバンクシーを有名にしたのは、「謎の存在感」。
誰なのか誰も知らないのに、世界中の注目を集めている。
これこそが、バンクシーというアーティストの最大の魅力かもしれません。
バンクシーの代表作とその影響
ここで、バンクシーのいくつかの代表的な作品をご紹介します。
「花束を投げる男」(The Flower Thrower)

パレスチナの分離壁に描かれたこの作品は、バンクシーの作品の中でも特に有名なもの。
一見すると、マスクをした男がデモや暴動で火炎瓶を投げているような姿に見えます。
でもよく見ると、その男が投げているのは、なぜか「花束」なんです。
普通なら「怒り」や「攻撃」の象徴になるようなポーズなのに、バンクシーはそこに優しさの象徴=花を持たせました。
つまり、「暴力じゃなくて愛や平和を投げるべきだろ?」という強いメッセージが込められていると考えられています。
「ガール・ウィズ・バルーン」(Girl with Balloon)

ロンドンの壁に描かれた「ガールズ・ウィズ・バルーン」は、赤い風船を手放す少女を描いています。
風に吹かれるように手を伸ばしている少女と、彼女の手元からふわっと離れていく赤いハート型の風船が描かれた、とってもシンプルな作品。
この作品は見る人によって解釈が違う点が面白いところ。
少女が風船に手を伸ばしている姿は、「大切なものが離れていってしまう瞬間」のようにも見えますが、
一方で、ハートの形をした赤い風船は、「希望」や「愛」の象徴ともとれます。
だからこの作品は、「希望を失う瞬間」と「希望が生まれる瞬間」、どちらにも見えるんです。
この作品はバンクシーの作品の中でも愛を象徴するものとして親しまれていて、ポスターなどのアートして自宅やオフィスに飾る方もいます。
「シュレッダー事件」

事件の顛末
ニュースで話題になったので目にした方も多いかもしれません。
2018年、イギリス・ロンドンの大手オークションハウス「サザビーズ」で、バンクシーの代表作「Girl with Balloon(風船と少女)」がオークションに出品されました。
その落札価格は、なんと約1.5億円(104万ポンド)!
…ところが!落札が決まったその瞬間に、事件は起きました。
オークション会場の人々が見守る中、シュレッダーにかけられたように裁断され、絵の下半分がビリビリになるという衝撃的な事件が起こりました。
実はこれ、バンクシーが改造を仕込んだ額縁だったのです。
■ なぜこんなことをしたの?
バンクシーは以前から、「アートがお金の道具になっていること」に強く反発していました。
アートは本来、自由な表現であるべきなのに、「高く売れた作品=価値がある」みたいな風潮があることに、強い疑問を持っていたのです。
その抗議として、「高額で落札された瞬間に作品を壊す」というパフォーマンスを通じて、「これは誰のためのアートなんだ?」という問いを投げかけたのです。
■ 裁断されたあとの作品はどうなった?
不思議なことに、この事件のあと、絵の価値はさらに上がってしまいました。
作品は「Love is in the Bin(愛はゴミ箱の中に)」という新たなタイトルで扱われ、2021年にはなんと約25億円で再び落札されています。
皮肉に皮肉が重なった、現代アート史にも残るような出来事となりました。
バンクシーの影響力

バンクシーの影響力がすごい理由
「ただの絵」がニュースになる
彼の作品は、街の壁にこっそり描かれるだけ。
でもそれが発見された瞬間、世界中のメディアが取り上げ、SNSが騒ぎ出します。
1枚の絵が社会の話題になる、そんなアーティストは現代では彼以外にはいないんじゃないでしょうか。
社会問題に静かに切り込む
バンクシーの絵は静かに現れ、皮肉やユーモアを交えてわかりやすく問題提起します。
政治や社会問題となるとどうしても強い表現や他社を落としめるような攻撃性を持ってしまったりしますが、アートの切り口から静かに問題提起するのがバンクシーの絵の特徴。
難しい話じゃなく、政治に興味のない人にも「今の世界っておかしくない?」と気づかせてくれる魅力もあります。
バンクシーの魅力や作品の特徴をご紹介しました

バンクシーは、アートを通じて社会に問いかけ、変化を促す力を持つ唯一無二のアーティストです。
筆者の個人的な見解では、彼が覆面で活動しているからこそ、人々が内面にかかえる様々な紛争や貧困などへの主張に共感を覚えやすいのかもしれないと感じました。
いまだ争いが絶えない世界情勢の中で、彼が今度どんな活動を行い、作品を生み出すのか。
今後のバンクシーの活躍にも目が離せないですね!
▼バンクシーの作品が展示された過去の展覧会▼
公式サイト「MUCA展 ICONS of Urban Art ~バンクシーからカウズまで~」
最後まで読んでいだきありがとうございました。
また次回の投稿でお会いしましょう!
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